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2014.12.7
自民党が性的マイノリティについて「人権問題として取り組まなくてよい」と回答したことの帰結を考える


愛媛県松山市を拠点に性的マイノリティの権利擁護活動に取り組むNPO「レインボープライド愛媛」が、今般の2014年12月14日投開票の衆議院総選挙に際して、主要政党に対して性的マイノリティに関する公開質問を行い、その回答が公開されています

その中で自民党による回答は酷いもので、他の質問に対する回答もさることながら、最も根本的に酷いと思うのが、以下の第1問目に対する回答です。

①人権問題として同性愛者や性同一性障害者らの性的少数者について取り組んでいくことをどう思われますか?(複数回答可)

【A】人権問題として積極的な取り組みが必要だ
【B】人権問題として取り組まなくてよい
【C】同性愛に人権という考えはあてはまらないように思う
【D】個人的な問題であり差別や偏見を被るとしたら同性愛という立場を自ら選択したことに原因がある
【E】答えられない/分からない
【F】その他自由筆記(        )

●自由民主党【B】人権問題として取り組まなくてよい
●民主党【A】人権問題として積極的な取り組みが必要だ
▲維新の党《回答無し》
●公明党【A】人権問題として積極的な取り組みが必要だ
●次世代の党【A】人権問題として積極的な取り組みが必要だ
●日本共産党【A】人権問題として積極的な取り組みが必要だ
▲生活の党《回答無し》
●社会民主党【A】人権問題として積極的な取り組みが必要だ
▲太陽の党《回答無し》
▲新党大地《回答無し》

(強調筆者)

「自由民主党本部政務調査会 山崎善晴」名義で出された上記回答は、党としての共通認識であると理解して差し支えないでしょう。

すなわち、自民党は、性的マイノリティについて「人権問題として取り組まなくてもよい」と明言しました。

こうした自民党の捉え方は、性的マイノリティの人権擁護に関する世界的な潮流に反するものであることは言うに及ばず、法務省の人権啓発活動における今年度の年間強調事項にすら「性的指向を理由とする差別をなくそう」「性同一性障害を理由とする差別をなくそう」といった文言が含まれるに至った日本国内での到達点から見ても、極めて反動的な認識と言わざるをえません。

ところで、「人権」とは「人がただ人間であるがゆえに当然に有する権利」であって、以下の3つの特徴を有するとされます(法律学小辞典[第4版](有斐閣)「基本的人権」の項目参照)。

  1. 固有性(国家や憲法によって与えられたものではなく、人間であるということだけで当然に有すること)
  2. 不可侵性(公権力によって侵されないこと)
  3. 普遍性(人種・性・身分などの区別に関係なく、人間であるということだけで当然に有すること)

現状、性的マイノリティに属する人間として生きることは、マジョリティとして生きる人間と比べて様々な面で不利益を被っているわけですが、こうした不利益を解消するためには、「人権」というモノの考え方が欠かせません。

「性的マイノリティとして生きること=人間として生きることであって、人間として当然に有するはずの権利が侵害されていたり、剥奪されていたりということは許されない」というものの見方ができない限り、

  • そもそもマイノリティが被っている不利益の存在すら認識できないかもしれませんし、
  • 不利益の存在を認識できたとしても、それを解消せねばならないという義務感あるいは政治家としての使命感が発生することはないでしょうし、
  • 仮に不利益を解消する政策を実行する場合でも、それは国家から国民に対するただの「恩恵」にすぎないという位置付けになるでしょう。

LGBTをはじめとするセクシュアルマイノリティの権利擁護に関心を持つ有権者は、自民党にだけは投票してはいけない、というのが私の考えです。

なお、「自民党もちゃんと伝えればわかってくれるのではないか?」という意見もあるかもしれませんが、自民党は、2年前の前回総選挙の際にもレインボープライド愛媛の質問に対して同様の回答を行っているほか、「ジェンダー平等政策を求める会」によるアンケートに対しても「性的マイノリティ(LGBT)に対する差別や社会的排除をなくす」という質問項目について「どちらかと言えば反対」という回答を寄せており、以下のKOMIYA Tomone氏のツイートに共感しています。

(行政書士 清水雄大)



投稿日時:2014年12月7日